
カナダ、2010年バンクーバーオリンピックのスピードスケート競技会場として建設されたオリンピックオーバルです。すぐ横のフレーザー川の弧(アーチ)を描いた流れと、流域に生息するサギが翼を広げているイメージのデザインで、「流れ・飛翔・融合」を意味しているとのことです。2008年竣工、建築面積25,000㎡、延べ面積47,000㎡、RC造地下1階・地上2階建てで、この巨大な屋根は木造です。
オリンピック後は市民の為の多目的複合スポーツ施設として利用されています。
バンクーバー空港のすぐ南隣の三角洲にあたるリッチモンド、そのフレーザー川分流の河岸にあります。ここから20km程南は、カナダ・アメリカ国境です。

<google地図参照> https://www.google.co.jp/maps/@49.1750851,-123.1522024,16.64z


木造屋根のメインフレームは、構造用集成材2本でV字型断面を構成した梁で、梁スパン100m(4本継ぎ)、梁成1.6m、梁ピッチ12.8m。V字型の中を電気や空調、スプリンクラー等の配管スペースとし、空調の吹出し口が梁側面に設けられています。
V字型断面梁の上面は鋼製トラスで塞がれていて、屋根パネルとの接合(梁両端部で屋根が反り上がっている部分も含む)には鋼製部材が用いられています。
屋根端部やエントランス屋根の支持には、屋外に現しの集成材丸柱も用いられています。
屋根パネル(Wood Wave Structural Panel)
三角形の合板に2×4材をビス留めしてV字型断面の梁を構成し、両端部をスチールロットで繋ぎ張力を入れて張弦梁構造としています。それを3本横に並べ上部に構造用合板を2重張りして、屋根パネル(幅3.6m×長さ12.5m×660㎜)を形成しています。
合板下の断熱材やV字型の空洞、2×4材の隙間等が、吸音効果を増加させているとのことです。空洞内にスプリンクラーの支管もあり、2.4mピッチでスプリンクラーが設置されています。
この屋根パネルをメインフレームに並べて載せて、12.8m間隔で谷のある巨大な木造屋根が出来上がっています。

フレーザー川の1km程下流対岸は水上飛行機の飛行場になっています。バンクーバー港付近には飛行機用の水上ガソリンスタンドもあります。ウィスラーのグリーン湖でも水上飛行機が発着していました。(写真撮影日:2014.09.17)


(2018.05.01)1974年卒 飯山道久